「変わらないといけない。」120年以上続く井波彫刻の職人が語る、伝統と挑戦

木のわについて
南部三姉妹
南部三姉妹

伝統工芸と聞くと、昔ながらの技術を守り続けるイメージがあるかもしれません。しかし、120年以上続く白雲工房の南部白雲は

「変わらないといけない」

と言っています。伝統を守ることと、これからの在り方についてインタビューしてきました。

時代と共に変わることの意味

井波彫刻といえば、社寺彫刻に代表される格調高い伝統工芸ですが、白雲は「伝統とは、時代と共に作るものが変わっていくこと」だと語ります。

「欄間は松竹梅と決まっているわけではない。」

定番に縛られることへの違和感が、白雲を看板事業へと向かわせた原動力でもあります。

「今の時代に手作りの木の看板は逆にウケると思う。木だけじゃなく鉄とかガラスとか、混ぜてもいい。」

素材の組み合わせも、発想も、時代のニーズも、変えていいものは変えていく。それが白雲の考える「伝統を守る」ということなのです。

機械にできないこととは何か

婦人服店の看板 木と鉄を組み合わせて制作した

「競争相手は機械やと思うんです。機械にできないことをやる」

デジタル化が進む時代に、手仕事の職人はどう生き残るのか。白雲の答えはシンプルです。

機械は均一で正確なものを大量に作ることができます。でも手彫りには、機械には出せない温かみがあります。そして何より、作った人の想いが宿るのです。

白雲
白雲

今のプラスチックの看板は、仕事をやめたら捨てられがち。でも手彫りの木の看板は、仕事をやめても、ああ昔はこんな仕事をしとったねと言って残したくなる。そんな看板を作りたい。

看板は単なるサインではありません。白雲が目指すのは、その店の歴史と想いを刻み込んだ、残したくなる看板なのです。

江戸時代、ハイテクがない時代の看板はすべて手作りでした。だからこそ個性があり、面白いものが生まれていきました。時代が巡り、今また手作りの看板が持つ価値が輝き始めていると私たちは考えています。

「井波彫刻の技術が看板に活きる。それが職人たちの新しい仕事になる」

伝統の技術を、現代の暮らしの中に。それが白雲が看板事業に込めた想いです。

考えることをやめたら終わり

「常に考えることをやめたら、もう終わってしまう」

白雲がものづくりで大切にしていることは、《基礎を徹底的に身につけた上で、常に新しいことに挑戦し続けること》です。

「予算がない、でも制限がある。そんな時、それを逆手に取ると面白いものができる」

制約は発想の邪魔になるものではなく、新しいアイデアのヒントになる…そう考えるからこそ、生まれた彫刻もあります。

高瀬神社の賽銭箱

基礎があるからこそ、自由に遊べる。その自由な発想が、唯一無二のものを生み出しています。

白雲の人生に大きな影響を与えた言葉

ある建築の大先生からかけてもらったの一言が、白雲の人生に大きな影響を与えました。

「仕事で遊びなさい」

遊ぶように仕事をする。好奇心を持って、面白がって、常に新しいことに挑戦する。それが白雲工房を、今もなお進化させ続けている原動力にもなっています。

次の世代へ

白雲は若い職人たちにも想いを伝え続けています。

白雲
白雲

考えるということを放棄したらもうあかん。常に考えること。

「基礎を身につけた上で、自分の個性を生かす。みんな生まれ育った環境も違う、男と女も違う、年代も違う。だから当然、作るものも違っていい。」

「みんな個性違うのに同じもん作っとってどうするんや」

初代がゼロから挑戦し、2代目がクオリティを高め、そして今の時代はまた自由に挑戦する時代だと白雲は考えています。

「若いもんと年よりは発想が違って当たり前。年よりはそれを受け入れる体質を持たんとあかん」

伝統は守るものではなく、挑戦し続けることで生き続けていくもの。120年の歴史は、次の世代に受け継がれていきます。

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井波彫刻は、富山県南砺市の井波地域で250年以上の歴史がある国の伝統的工芸品です。当工房は明治31年に創業した井波でも歴史ある工房で、社寺建築装飾で培われた高度な技術を活かしたオリジナルの木彫刻看板を制作しています。これまでの数百件にのぼる...

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