
今回は厳かな井波彫刻のイメージと、まったく異なるタイプの看板のご紹介です。
井波彫刻というと発祥が社寺彫刻(龍や天女など)ということもあり、厳かな雰囲気をイメージされることも多いのではないでしょうか。当工房では現在でも社寺彫刻を主に作っていますので、特にそのように思われることも多いのですが、今回はそのイメージとは離れた看板の事例をご紹介いたします。
同じ井波にあるケーキ屋さんの看板の依頼を受けました

ピンクとうさぎが大好きな店主のお店で、わたしたち三姉妹も誕生日やクリスマスなど、美味しいケーキを買いによくお伺いしています。
令和2年にオープンし、【ピンクとうさぎのケーキ屋さん】というイメージがだんだんと定着しつつありましたが

井波のお店なのに、井波彫刻が無いなんて…!
と、思っていらしたそうで、何か作れないかとご依頼を受けました。
最初にご連絡頂いた際には、どんなものがいいのかという具体的な希望は特になく、そのご提案からさせていただきました。
まずはアイデアをスケッチに
先に書いたとおり、ピンクとうさぎのお店というイメージはすでに周知されており、うさぎは入れたいな、という点を軸に色々なアイデアを出していきました。

お店の中は店主が集めたうさぎグッズがたくさん並べられて、どれも可愛く、お店の柔らかい雰囲気を作っていました。井波彫刻の良さは完全フルオーダーができることですので、そこにラパンだけのオリジナルうさぎさんがいたなら!と、「ラパンで働くうさぎさん」をデザインしました。エプロンとコックタイを付け、泡立て器を持っている姿のうさぎさんが生まれました。

一口にうさぎといってもデザインによって雰囲気が大きく変わります。好みの雰囲気をお聞きし、あまりキャラクターチックになりすぎないデザインを心がけました。
そして話し合いを進めていくうちにお店の看板商品でもあるうさぎの形をしたラパンケーキとシナモンクッキーも加えたデザインが進められていきました。

アイデアの種としてスケッチブックに描いていた生クリームも、縁取りを飾る部分に採用されました。

全体の形も色々なパターンのアイデアがありました。

壁掛けスタイルやイーゼル型のスタンドタイプ。また、当初は店外にOPENを知らせる看板にする予定でした。が、井波は春先に井波風と呼ばれる強風が吹き荒れる地域ですので、「もしそれで看板に被害があったら…」と心配され、店内に置くこととなり、だったらOPENと表記する必要性も少ないし、お店の名前にしようか、とだんだんとデザインがブラッシュアップされていきました。

このようにしてデザインが決定していき、そこから彫りの作業に進みます。
ラパンケーキとシナモンクッキーは実物があるのでそこから見た目が離れすぎてもいけません。なおかつ、美味しそうに見えることも重要です。クッキーの持つ独特なでこぼこの質感やラパンケーキの光沢のある見た目などなど、彫刻で表現するのは職人の経験値による技術です。彩色ひとつとっても、うさぎの目だけはカシューというものを使い、目に光が入ったようにしました。
そうして出来上がった看板がこちらです



ご依頼くださった店主も

お店の雰囲気ともマッチしていて、より素敵な空間になりました。
と言ってくださり、安心しました。

後日伺うと、お店に来られたお客さんから「お!SNSにアップしてたやつだね〜」と何人もの方からお声がけいただいたそうです。「話の種にもなります〜」とおっしゃっていただき、お店に役立てているようでこちらも嬉しい限りでした。
制作期間:約8ヶ月
▼まちなみラパン 様のInstagramはこちら
伝統的な技術を、現代のデザイン看板に
社寺彫刻という伝統やきまりが多いものを先人から代々受け継いで作ってきたことで様々な技術を体得し、その技術を応用してこのような可愛いものも作れるのです。特に、当工房では社寺彫刻であってもその社寺独自のオリジナル要素を加えたものを作るようにしてきたので、その甲斐あってかお客様の様々なご要望に応えられるようになりました。
今回のような可愛い看板も、そのおかげかもしれません。
井波彫刻のイメージが広がりましたでしょうか。可愛いもの、ポップなもの、他にも洋風な雰囲気やスタイリッシュなものまで、意外と幅広く木彫りで表現出来ますので、ぜひお気軽にご相談くださいませ。
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